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2020.11.10

低温環境下でウイルスの感染力が高まる?リンケージが喫煙とインフルエンザ・新型コロナのリスクに関するレポートを発表 〜呼吸器感染症による健康被害を防ぐための禁煙治療を提案〜

オンライン診療など健康支援プログラムを提供する株式会社リンケージ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:生駒恭明)は、2020年11月10日、喫煙とインフルエンザ・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)リスクに関するレポートを公開しました。今回は、喫煙とインフルエンザ・新型コロナウイルス感染症の関係についての最新情報に焦点を当て、リンケージ取締役CMO(Chief Medical Officer)石澤哲郎医師による監修で現状を報告します。オンライン禁煙プログラムなどの健康支援サービスを展開するリンケージでは、今後も呼吸器感染症による健康被害を防ぐため禁煙治療を提案し、企業や健康保険組合の健康経営の実現に向け、サービスを提供してまいります。
 

腕を組む医師

喫煙とインフルエンザ・新型コロナのリスクについて

ウイルスは気温の低い時期に活性化することが知られています。実際、冬場には毎年のようにインフルエンザやノロウイルス胃腸炎が流行しますが、今冬は新型コロナウイルス感染症の第三波到来も懸念されます。本稿では喫煙とインフルエンザ・新型コロナの関係についての最新情報をご紹介します。

喫煙とインフルエンザ

インフルエンザは国内で毎年1,000〜2,000万人が感染し、そのうち2,000〜3,000人ほどが亡くなっていると推計されています。

喫煙とインフルエンザの感染および重症化リスクについては、以前から様々な報告があります。例えば複数の研究をまとめた2019年発表のレビューでは、喫煙者は非喫煙者に比べてインフルエンザ類似症状をきたすリスクが1.34倍、確定診断されるリスクが5.69倍に増加することが明らかになっています 1)。また感染した場合には、喫煙者の方が非喫煙者よりも重症化しやすいことが知られており、インフルエンザによる入院リスクは1.5倍、重症化して集中治療室に入るリスクは2.2倍に高まります 2)。

喫煙によってインフルエンザの感染リスクと重症化リスクが上昇する理由は十分判明していませんが、ニコチンやその代謝物が免疫に悪影響を与えている可能性が指摘されています 3)。そのため、インフルエンザ対策としては紙巻きタバコだけではなく加熱式タバコも避ける必要があります。

喫煙と新型コロナ

喫煙は、気道のACE受容体(ウイルスの侵入経路となる受容体)を活性化するなどの機序を通じて、新型コロナの感染リスクや重症化リスクを高めると考えられています。

最近、喫煙と新型コロナ重症化の関連について複数の研究をまとめたレビューが発表されました。このレビューでは計1万人以上の新型コロナ患者について解析が行われましたが、現在及び過去の喫煙が、新型コロナの重症化リスクを1.5〜2倍ほど有意に上げることが明らかになりました 4)。また、10〜20代の若者を対象とした別の研究では、電子タバコ(主にニコチン入り)の喫煙者は新型コロナの感染リスクが5〜7倍ほど高いことも明らかになっています 5)。

健康に冬を乗り切るために

マスク着用や手洗いといった新型コロナ対策が周知徹底されている影響か、現時点では例年よりもインフルエンザの患者数が少ないことが報告されています。しかしインフルエンザの本格的な流行期は12月中旬以降であり、まだ安心することはできません。

また新型コロナ流行と季節の関係は明らかではありませんが、他のウイルス性疾患と同様に低温環境で感染力が高まることが懸念されています 6)。さらにスーパーコンピュータ「富岳」による解析では、湿度30%以下の環境では拡散するエアロゾルが2倍以上に増えることが明らかとなっており 7)、気温・湿度ともに低下する冬場に新型コロナが大流行する可能性は否定できません。

インフルエンザや新型コロナといった呼吸器感染症による健康被害を防ぐためには、リスクになりうる生活習慣を早めに変えていくことが必要です。感染症予防対策として禁煙治療に取り組むことを是非検討してみて下さい。

参考文献

1)    Lawrence H, Hunter A, Murray R, et al. Cigarette smoking and the occurrence of influenza- Systematic review. The Journal of Infection 2019 Nov;79(5):401-406.

2)    Han L, Ran J, Mak YW, et al. Smoking and Influenza-associated Morbidity and Mortality. Epidemiology 2019 May;30(3):405-417.

3)    Lee HW, Park SH, Weng MW, et al. E-cigarette smoke damages DNA and reduces repair activity in mouse lung, heart, and bladder as well as in human lung and bladder cells. PNAS 2018 Feb 13;115(7):E1560-E1569.

4)    Gülsen A, Yigitbas BA, Uslu B, et al. The Effect of Smoking on COVID-19 Symptom Severity: Systematic Review and Meta-Analysis. Pulm Med. 2020 Sep 8; 2020:7590207.

5)    Gaiha SM, Cheng J, Halpern-Felsher B. Association Between Youth Smoking, Electronic Cigarette Use, and COVID-19. Journal of Adolescent Health 2020 Oct;67(4):519-523.

6)    Audi A, AlIbrahim M, Kaddoura M, et al. Seasonality of Respiratory Viral Infections: Will COVID-19 Follow Suit? Front Public Health 2020 Sep 15; 8:567184.

7)    日本経済新聞「乾燥すると飛沫拡散、スパコン「富岳」で模擬実験」2020年10月13日.


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